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ピエール・ブルデュー『芸術の規則』

芸術の規則〈1〉 (ブルデューライブラリー)

芸術の規則〈1〉 (ブルデューライブラリー)

社会学の社会学』でブルデューの商業-芸術論を読んだなら、こちらも読みたくなる、そういうわけで手を付けかけた本。いずれまた読みなおしたい。

要するにひとことで言えば、なぜ人〔芸術家と芸術愛好家たち〕はあんなにもはげしく、〔芸術の科学的〕分析にたいする抵抗を示すのか? それはこの作業が、いわゆる「創造者」、および「創造的」読書行為によって彼らに同一化しようとする人々に、フロイト流に言えばナルシシズムにたいして加えられた最後の、そしておそらくは最悪の傷をもたらすからであるとしか考えられないではないか。かつてコペルニクス、ダーウィン、そしてフロイト自身がしるしづけてきたあれらの傷に連なる、最後にして最悪の傷を。(12ページ)

じっさい視線を見かけ上の生産者──画家、作曲家、作家──へと向けさせ、いったい誰がこの「創造者」とその実体変化をもたらす不思議な力を創造したのかという問いを禁じてしまうのは、このカリスマ的イデオロギーなのだ。〔…〕作品を作りだす芸術家は、この芸術家を「発見」し、人々に「認知され」承認された正統的な芸術家として認定する人々〔…〕の集合全体によって、生産の場のただ中でそれ自身が作りだされる存在なのだが、このことに気付くには、右の禁じられた問いを発してみさえすればじゅうぶんである。(262ページ)