三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』
- 作者: 三浦 しをん
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/07/09
- メディア: 単行本
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善福寺川ちかく、古くからベッドタウンとして開発されてきた街に立つお屋敷を舞台に、そこに住まう4人の独身女性たちの春から夏にかけて、数ヶ月間が描かれる作品。さすがにうまいなぁと思う。ボキャブラリーというかリズム感というか。
敷地内に鬱蒼と茂る木々、食べきれないほどの収穫をもたらす菜園、鎧戸と木枠の窓がついた昭和の木造建築、正門脇には使用人の住まい!(思ふに文化的な生活の表象というのは使用人さんの存在があってこそではないか?) 共同生活の単位が核家族やそれに近い血縁関係のなかに収斂してしまうよりまえの時代の生き方と、望むと望まざるとにかかわらず独身の人びとの任意に基づくホームシェアリングという比較的新しい時代の生き方とが交差しているのもまたよい。
というわけで「こんな家に住みたいなぁ」と思いながら次の瞬間には「彼女たちのように人並みかそれ以上のこころの細やかさを発揮して他人さまと日常をともにするなんてムリ」と確信してしまうのでした。。