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M12i.

学術書・マンガ・アニメ・映画の消費活動とプログラミングについて

C・エルズリッシュ、J・ピエレ『〈病人〉の誕生』

「病人」の誕生

「病人」の誕生

  • 作者: クロディーヌエルズリッシュ,ジャニーヌピエレ,Claudine Herzlich,Janine Pierret,小倉孝誠
  • 出版社/メーカー: 藤原書店
  • 発売日: 1992/10
  • メディア: 単行本
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久しぶりに社会学を読もうと思う。タイトルやAmazonで確認したあらすじから、どちらかといえばアナール学派側のものという認識だったのだけど、序文を読む限りはちがったようである。

プロである医者にとって病気を理解することは、限られた場所で、限られた対象について行われる実践というパースペクティヴのなかに位置づけられる。医学的な知が徐々に身体に焦点をあわせていくにしたがって、身体は医学的作業の場や材料となり、医者が独占し、自分の権力を打ち立てようとする規範の対象になった。それに反して、病気か否かを問わず素人にとって、自分の体の状態を理解するというのは、生理学的なメカニズムやそのメカニズムに及ぼされる影響を知ることにとどまらない。病気は、個人の身体と体調の問題を超える解釈をつねに要求するのだ。病気を意味づけ、社会的なものとの新たな関係を模索する必要がある。医学上の知や治療に病人がどんなに依存していようと、この「パースペクティヴ」は自立性を保つだろう。〔12〜13ページ〕

私としては本書をとおして、つい最近まで疫学研究の職場に在籍していた人間が、自身の病と対峙するときのこころのあり方に思いをいたしてみようと思う。つまり伝統的にいうところの「理解」の実践を。