M12i.

学術書・マンガ・アニメ・映画の消費活動とプログラミングについて

ノルベルト・エリアス『死にゆく者の孤独』

ミヒャエル・ハネケ監督の『愛、アムール』を観たあとに寄ったジュンク堂で購入。文量としてそれほどでもなく、論述の調子もまま平易ではあるので、アナール以降の歴史関連書の翻訳書としては読みやすい部類に入るかと思います。

ひとと自分自身の“死”の受け止め方には時代ごと社会ごとの大きな違いがあるのだということ、その上で現代(20世紀後半西欧)における“死”のあり方とその課題について述べる、といった感じの内容です。

愛、アムール』を観たあとで、物理的で生物学的な“死”そのものというより、社会化/近代化された人間の緩慢な“死”への過程(あの底の見えない失望感)と“死”の瞬間(理解の彼岸にある出来事)というものに関心があったため、本書の主題に対して集中しきれないところがありました。いずれ再読したいです。