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リース・ボウエン『押しかけ探偵』

押しかけ探偵 (講談社文庫)

押しかけ探偵 (講談社文庫)

『口は災い』の続編。20世紀初頭のニューヨークを舞台としたミステリー。アイルランドからやって来た主人公モリーは本作でも事件に巻き込まれて、その解決のために奔走します。

農家に生まれた女性でありながら機会に恵まれてジェントルマン階層の子女とともに教育を受けた主人公が、さまざまな人種・民族だけでなく、さまざまな階層、それも同じ階層であってもその由来を異にする人びとからなるニューヨークの社会のさまざまな様相を目撃する。事件に遭遇し、その解決のためいろいろの街路を歩き、お屋敷に潜入し、万博会場を駆けまわる・・・

主人公モリーの目を通して成長を続ける近代都市、層をなす人間社会、変化しつつあるアメリカ合衆国といったものを垣間見ることができておもしろい。