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マルク・ブロック『奇妙な敗北』

奇妙な敗北―1940年の証言

奇妙な敗北―1940年の証言

『新版 歴史のための弁明』の3年後に出版された翻訳。20世紀初頭に歴史学の一学派を創始した著者の、共和主義フランスへの忠誠をつづった手記。久しぶりにブロックを読んでみたくなり手に取った。

本書中で繰り返しくりかえし表明される共和国の理想への確信は、国民国家同士・国民同士が緊張を孕みながら国境線や海峡を挟んで向かい合う世界観(近代を通じて醸成されていった)や、ドレフュス事件後の共和国においてユダヤ人の知識人の眼前に示されていた“選択肢”といった観念を想起させずにおかない。

そういうわけでちょっと重たい気分になる本。「共和主義フランスのための弁明」といった感じ。