M12i.

学術書・マンガ・アニメ・映画の消費活動とプログラミングについて

奥田亜紀子『ぷらせぼくらぶ』

ぷらせぼくらぶ (IKKI COMIX)

ぷらせぼくらぶ (IKKI COMIX)

こういう真っ向から関係論的テーマなマンガは好み。

ただその関係論のなかで語られていないレイヤがあって、それはマンガとかアニメとかのある種「演劇」的な表現の世界では難しいところがあるのかもしれない(ようするに間違った立て方をされた問題というのはありうることだと思う)。

この作品も含めてマンガ表現で触れられるのは第1層の社会心理学の層で、佐藤裕『差別論』の世界。無理やり単純化すれば三者関係論。

その陰には第2層があって、それは構造主義以降の社会学の世界。それは『感情教育』の世界で、第1層の構造をタテに何層も重ねあわせて相互リンクさせたような構成。

この主題を真剣に取り扱っているサブカル表現はまだ見たことがない。少なくとも写実主義文学はこの立体構造を、種々のストーリーを生成するための源泉にしている。