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宮崎夏次系『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』

夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない (モーニングKC)

夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない (モーニングKC)

帯によれば「さびしさ」がテーマの一冊。

本書を読みつつ、「なるほどそう言われるとそうかもしれない」と思いつつも、「それでいれば『僕は問題ありません』とか『変身のニュース』もそうなのではないか」などとも。

宮崎夏次系の作品ではいつも、奇っ怪な世界で奇っ怪な登場人物たちが彼らなりの「日常」を過ごしている。その登場人物たちはたがいにいつもほんの僅かな接点、すぐさま崩壊してしまいそうな前提、カタチの定まらない感情でもって互いに共感しあっている。

そういう本質的には個々バラバラで、ニュアンスでのみ、曖昧な表現/非表現でしか繋がりを持つことのできない個人とその影を、真っ白な空白や薄いトーンと入道雲で連想される強い日差しが照らし出している。

そこにはいつも一種の「さみしさ」が汲み取れる気がする。