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暮らしと美術と高島屋

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世田谷美術館企画展「暮らしと美術と髙島屋/世田美が、百貨店のフタを開けてみた。」。2013年4月20日~6月23日、1階展示室にて。

博覧会の世紀、百貨店の誕生、オリエンタリズムジャポニスム、伝統の創造とコンテンポラリアートの草創、商業芸術…。19世紀後半に興った染織物商としての高島屋の歴史を、資料館所蔵の美術品や広告ポスター、店舗内外の写真、そして商品などの各種アイテムの展示から見られる。

繰り返し行われた博覧会への出品は、「諸外国」の客を前にして「日本国」を商品化する意識のひとつのあらわれであり、関連資料からはオリエンタリズムジャポニスムに対する逆照射の有り様を伺うことができる。一方で「伝統的」とされる絵柄の染織品がつくられ、また一方では「近代的」なそれが試みられる。内外の画家による美術品の収集は商品開発の戦略と結び付いており、そのほんの一部であれ近代日本画壇の成り立ちを知られる。

内外を隔てる輪郭は、その時々の国家的達成(旅順攻略、詔勅記念、etc.)に触れる広告ポスターにも描かれ、19世紀末〜20世紀前半にかけて、百貨店という空間/事業が多かれ少なかれ負っていたであろう国民国家形成期におけるひとつの役割を見ることができたように思う。(あるいはまた百貨店に限らず博覧会の世紀に人びとの日常体験の一部を構成していた表象がどのようなものであったかを視覚的に知るのにもよかったように思う。)