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学術書・マンガ・アニメ・映画の消費活動とプログラミングについて

朔ユキ蔵『お慕い申し上げます』

お慕い申し上げます 3 (ヤングジャンプコミックス)

お慕い申し上げます 3 (ヤングジャンプコミックス)

この作家さんは『EROTICS f』誌上の『黒髪のヘルガ』を読んで知っていたのだけど、単行本を手に取ったのははじめて。

『ヘルガ』のときははっきりと意識しなかったけれど、このマンガを読んでいてよくよく感じたのは、「朔ユキ蔵の描くキャラクターたちの、この憂いを帯びた目元、というか眉毛がいいなー」ということ。

ある強力な思想に先導されながらも、自分たちが胸に抱える煩悶は、自分たち自身で解決へと導かなくてはならないということ──まさにそういう人のこころをテーマにした作品として、仏教以前に宗教、それどころか哲学すら信奉するところのない人間が読んでもたのしめた。