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高澤紀恵『近世パリに生きる』

近世パリに生きる―ソシアビリテと秩序 (世界歴史選書)

近世パリに生きる―ソシアビリテと秩序 (世界歴史選書)

バシュラール本の次はコレ。久しぶりの岩波書店。久しぶりの「世界歴史選書」。

近世パリ、16世紀初頭から18世紀初頭を対象期間とする歴史書です。序章では参考文献に二宮宏之氏の名前が見え、同氏が解説書を書いているマルク・ブロックへ、そこからブロックが『歴史学のための弁明』の中で展開していた弁明(弁解・弁護)を思い出します。

彼はある科学部門が、それが対象とする“モノ”へ接近する際の直接性に関して、他の科学──とくに自然科学──と歴史学との間にある(といわれている)異同について、歴史学を弁護しているわけですが、これと同じか少しあとの時期にバシュラールはより一般的に科学の、というよりは科学史・科学哲学の、経験主義・実存主義的性格を批判していました。

そういうわけで、はからずも自分自身の関心のテリトリーのなかに本書も位置づけられている/自らを位置づけていることを確認して、目下読み進め中です。

(写真は16世紀初頭のパリ。その一部。中央にセーヌとシテ島。河岸にはグレーヴ広場。)