政治的意見のかたちと出所について
新聞か、テレビか、講演会か、そうでなければ2ch・ニコ動か。というちがいは、本質的な問題ではないように思う。
それぞれのメディアによる情報の生産・流通過程の特徴はあきらかに情報そのもののかたちとそこから形成される政治的選択に影響をあたえるだろうけど。
だからといって政治的言説の消費者であり2次創作者である人びとの言説の「稚拙さ」について、その原因をメディアのちがいにもとめるのはやはりまちがった問題設定であるように思う。
ぼくはそもそも、無条件にすべての人びとが世論調査のインタビュイーとなり、すべての人びとが投票所で投票すべきだという、あの広く普及している哲学こそ問題だと思う。
組織されておらず、「問題」の利害関係者となってはいない人びとが、にも関わらず何らかの「意見」をともかく表明することを求められること。
そして求められた側はその要求を大まじめに受け取って、その場その場で期待されている、こう聴かれたらこう返すべきだという形式と問題設定にしたがった「意見」を返そうと努力すること。
その結果起きるのが、「世論」の創造と、疑問符をつけたくなるような(つまり問題をとりちがえているとしか思えない)政治的「意見」の出現であるように思う。
参考:
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