M12i.

学術書・マンガ・アニメ・映画の消費活動とプログラミングについて

鈴木卓爾『ジョギング渡り鳥』

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高校時代の友人が出演している映画を観てきました。モコモコ星人というなぞの不思議生命体が登場します。そんな説明されても意味がわからないでしょうけれど、出演者の当人が説明を放棄していたのでこんな説明でもまだマシというものです。

公式サイトに蓮實重彥の「これこそ真の意味でリアルな映画なのだ」というコメントが載っていますが、なるほどと思います。映画は映像を通じて構成された物語です。その映画を自らの作品として構成しようとする主体そのものを撮影され構成される対象とし、それを撮影するモコモコ星人をモコモコ星人自らが撮影して構成し……そんな撮影し撮影される彼らを撮影し構成した映画というのは、物語のメタレベルにある作為性を再帰的に暴露し「あるがまま」を呈示しようとするわけです。そういう意味でそれは一つのレアリスムと言えるでしょう。

もちろんそうして呈示された作品は比較的無邪気に構成されたあとで現在のかたちになったようですし、「あるがまま」を表現しようとするまさにその真剣な努力の過程こそが構成の過程でもあるわけですが。そうしたことを考えいるうち、ちょっと現象学の解説書を思い出してしまいました。