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学術書・マンガ・アニメ・映画の消費活動とプログラミングについて

S・ウォーターズ『黄昏の彼女たち』

第1次世界大戦で男手を失い、投資の失敗で財政に破綻をきたしたとある上流家庭。ゆるゆると朽ちつつあるロンドン郊外の邸宅に下宿人夫婦を迎えた母娘。その娘と下宿人の妻との間に生まれた「秘密の関係」についてのお話です。

前半部の「秘密」はその先行き不安によって主人公たちを苦しめこそすれやはり期待に満ちたものであるのに対して、後半部の「秘密」はひたすらに彼らの精神を抑圧して狂気の淵に立たせます。

故人の生活の影、暗く、寒く、傷んで修繕の追いつかない屋敷、先の大戦の爆撃で倒壊した建物の跡地・・・という舞台描写が、物語全体を仄暗く色彩に乏しい世界の印象の中に閉じ込めている感じで、全体に陰鬱、読後感もよいものではないですがおもしろいです。