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水島 昇『細胞が自分を食べる オートファジーの謎』

細胞が自分を食べる オートファジーの謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)

細胞が自分を食べる オートファジーの謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)

生物学の新書を久々に手に取りました。テーマは題名の通りオートファジー(自食作用)。真核細胞が自身の内外の生物/非生物を分解してアミノ酸などの分子のレベルに還元する作用です。

DNAの遺伝子やその発現、遺伝子以外の形質の継承/変異の仕組みの研究のような分野から離れると、こんなにもわかっていないことが多いのだなぁという印象です(もっとも遺伝子に関することだって、わかってきたのは歴史的には「ちょっとまえ」のことかもしれませんが)。わかっていないこと、諸説あることが多いので、本書の記述は現象面にフォーカスしています。

そしてこれはある程度はしかたのないことですが、現象面にフォーカスしている段階では「それが何の役に立つのか、何故それをDNAに持つのか」という、あの、新たな神の意思を仮定した奇妙な論法が自然と浮上してくるので、そこで違和感を禁じ得ない。そこがやはり少し気になってしまうのでした。