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学術書・マンガ・アニメ・映画の消費活動とプログラミングについて

V・ウルフ『自分だけの部屋』

book

自分だけの部屋 (新装版)

自分だけの部屋 (新装版)

再読です。一度目はE・サイードの『知識人とは何か』のなかで紹介されていたところから読んだのでした。二度目の今回はこのかん女性作家の本ばかり続けて読んできて、ふと性別(あるいはジェンダー)と文学作品の関係性というものへの興味から手に取りました。

「〔女性が〕小説なり詩なりを書こうとするなら、年に五百ポンドの収入とドアに鍵のかかる部屋を持つ必要がある」という結論にいたる過程を、架空の人物メアリイ・ビートンの数日間の思索の流れのなかに呈示するという本書の構成は、まことにウルフらしい挑戦です。

架空の大学都市のなかをゆくミス・ビートンの眼前に広がる風景、彼女の前にあらわれる人物たち、彼女が本を出し入れるする書架、そうした現実世界と、それらに遮られたり触発されたりしながらああでもないこうでもないと考えごとを続ける想像・思索の世界とが入れ替わり立ち代りに語られていきます。その何とも言えない生々しさというか、リアリティというか。

目の前の本の山がある程度はけたら、また彼女の作品を読みたいなと思いました。