ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生
展覧会『ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生』に行ってきました。
あてが外れた感じで、「風景画の誕生」=「風景が風景として独立したテーマの地位を得るにいたる過程」の呈示が弱い、あるいは呈示されていてもきちんと説明されていない印象を受けました。
「風景をともなった宗教画」や「風景を使って季節を写しこんだ季節画」ではない、風景そのものを主題とし、風景そのもののなかに美を見出す(あるいは再・構成する)絵画はどうして誕生したのか。
画家や注文主の帰属を示す風景、宗教的なテーマを暗示するための風景、民衆の生活のなかの季節とキリスト教的な時間概念を編成するための風景・・・転換点は曖昧であっても、それらのいわば道具としての「風景」から近代的な美の具現としての「風景」が独立していくのはどのようにしてか。
まあそもそも「芸術」を「説明」(あるいは「理解」)するというのはあまり公然とは推奨されない立ち向かい方なのかもしれません。