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学術書・マンガ・アニメ・映画の消費活動とプログラミングについて

額賀澪『ヒトリコ』『屋上のウインドノーツ』

ヒトリコ

ヒトリコ

屋上のウインドノーツ

屋上のウインドノーツ

TSUTAYAの単行本コーナーで見かけて、『ヒトリコ』→『屋上のウインドノーツ』の順に読了しました。

作者の二本立てのデビュー作はいずれも霞ヶ浦を望む地方の高校が舞台。『ヒトリコ』の主人公はピアノ教室に通い、『ウィンドノーツ』の主人公は吹奏楽部で活動するということで音楽つながりもあります。いずれも学校生活や友人関係のなかで他人からも自分自身からも疎外されてしまった主人公の感情的な再生とか社会的な再統合とかの物語で、さらっと読めます。

中高生の学校生活というのは現代小説の主題としてありふれているけれど、視界いっぱい畑と田んぼが広がっていたり朝靄の先に湖を望むなんて地理(?)は舞台としてめずらしい気がします。2つの物語の主題となる高校生の主人公たちの友人関係やその葛藤の根源がいずれも幼稚園や小学校のころからの因縁であるのも、そういう地方都市周辺の農業地帯のやや流動性の低い社会を背景にしているからこそなのかなとも。