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M12i.

学術書・マンガ・アニメ・映画の消費活動とプログラミングについて

原田敬一『国民軍の神話』

史料の読み方がナイーブすぎる、というのが印象。加えて、明治初期から日中戦争のころまでの徴兵制度の変化などにも触れているものの、基本的には、各時期に人びとが徴兵制度に対して示した否定的/肯定的な反応を、近代教育の普及の程度や、国民意識の浸透度合いなどのコンテクストを考慮することなく分析しようとする傾向もあって、そこもちょっと気になった…。

ともあれ、とくに本書の前半部で提示される個人間・地域間の競争関係の構図は興味深いものではあった。近世以来、徐々に出来上がってきた「想像の共同体」を前提として、明治維新後の政府が教育・徴兵制度などの諸制度を通じて個人間・地域間の競争をあおり、他方国民の側でもその競争の場に経済的見返りや地域社会内における威信のような象徴的見返りを賭金として見出して、半ば強制・半ば自発的に参加をしていく。

その「国民化のゲーム」とでも言うべき全般的状況下で、軍隊内の個人の栄誉がイコール地域内での個人の栄誉(同郷人との差異化)となったり、軍隊内での個別地域出身者の栄誉がイコール国内における地域の栄誉(他地域との差異化)となったりする。そうして全体としてはいよいよ熱心に政府が提示した基準に適合した「国民」として自分自身を洗練させていく。

もちろん、そういう光景を半ば醒めた目で見ながら、学業や文化生産における成功、官僚秩序内での成功という自身の目論見を妨害する徴兵制の網の目から何とかして逃れようと格闘する人びともそこには存在する……。

そういった当時の様相を示してくれたことで、本書は、「20世紀前半の『日本』において青年たちがどのような可能態の世界を眼前にしていたか」を想像するための助けになった。