ダラ・バーン監督『ダブリンの時計職人』
作中で、ホームレスを対象とした福祉政策はもちろん「トラベラーズ」を対象としたそれもかなりあっさり触れるだけになっているのは、やっぱりこの国にとってそれがもはや言わずもがなな事項として認識されているからなのかな…。
国・地域によってホームレス(というか「固定住所なし」)にまつわる問題系が異なっているということも背景にあるのかもしれないけれど。あるいは単に、この映画があくまでも「苦境を乗り越える中年世代の物語」なのであって「ホームレスたちの社会的再統合の物語」ではない、ということなのかもしれない。
あと、テーマとは関係ないけれど、主人公が寝泊まりしている海岸も気晴らしのドライブをする森林地帯もすごくきれいで、そういう景色がダブリンのコンクリートの街並みと交互に出てくるのがすこし不思議な感じだった。