柚木麻子『王妃の帰還』
- 作者: 柚木麻子
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2013/01/19
- メディア: 単行本
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『終点のあの子』の学級内政治論に、『あまからカルテット』の親友論や、『けむたい後輩』の勧善懲悪論と、『私にふさわしいホテル』の戯画化された階級闘争論。それらぜんぶが盛られている感じ。
「教室」のなかで彼女たちがグループの構築作業を通じて生産したり流通させたりしている価値観。「学校」の中から観たときの彼女たちの世界の「閉塞感」だとか、それと矛盾するようだけれど、その内側と外側とに提示されている(あるいは提示されているものと誤認されている)「可能性」。
そういう要素々々を一旦明確化させた上で、今度は「見応えある劇」の脚本として再構築している。そんな印象を受ける作品だった。