M12i.

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阿部謹也『刑吏の社会史』

フォン・アミラその他諸氏の分析の努力にもかかわらず、ある時代・空間に生活する人間集団に共有された単一の整合性ある「世界観」を再構成しようとする努力は、いつも失敗する運命にあるように思われる。いつの時代もひとは、良くも悪くももっと柔軟に、矛盾だらけの方法でもって世界を観ていたのであってみれば。

そのようなわけで終盤の刑吏賤視の起源をめぐる考察はよいけれど、前述の諸学説を紹介する際の著者(阿部)の無批判な態度にはちょっと残念な気持ちにさせられた。